介護職の人間関係はなぜ難しい?よくある悩みと解決策を徹底解説
介護の仕事は好きだけど、人間関係が辛いんだよね…
女性が多い職場だから、スタッフ同士の派閥が面倒くさい
ベテラン上司と意見や価値観が合わなくて困るなぁ…

介護の仕事は、人と直接関わることでやりがいを感じられる仕事です。

しかしその一方で価値観のぶつかり合いなども起きやすく、人間関係に悩んで「もう辞めたい」と限界を感じてしまう方も少なくありません。

実際、この「人間関係」を理由に辞めてしまう介護職の人は多くいます。

なぜ介護の現場では人間関係の悩みが多く見られるのでしょうか。

この記事では、人間関係が悪化しやすい理由と、少しでも状況を改善するためのヒントをお伝えしていきます。

介護職の人間関係でよくある3つの悩み

まずは介護職の方が実際に抱えている、具体的な悩みをいくつかご紹介します。

1.業務中の不満・対立関係

報連相(報告・連絡・相談)ができていない

自分のシフト外で起きたことや、利用者さんの些細な変化が共有されておらず、対応に困ることがあります。

情報共有不足は、業務の非効率化だけでなく、利用者さんの安全にも関わる重大な問題です。

場合によっては利用者さんやご家族からのクレームに繋がる場合もあります。

仕事のやり方が違う

介護の現場では、必ずしも「これ」という正解があるわけではありません。

そのため介助方法や業務の進め方、利用者さんへの対応の仕方など、人それぞれ異なる場合があります。

また一人一人の仕事ぶりが目に見えやすいことから「なぜあの人は、こんなやり方をするんだ?」と疑問に感じ、対立が生まれやすくなります。

特に経験者同士だと、自分のやり方が正しいと思い込んでしまい、歩み寄りが難しくなることもあります。

また同じ業務でも施設によってやり方が異なることも多く、転職の多い介護業界では「以前勤めていた施設ではこうだった」など意見のぶつかり合いが起きやすくなります。

特定の人にばかり業務が偏る

「あの人はこの利用者さんの介助が苦手だから、私が全部やらないといけない」「面倒な業務ばかり押し付けられる」「異性の対応を嫌がる利用者さんに合わせないといけない」など、業務内容に偏りが出てくることで、不満が生まれやすくなります。

2.休憩室・控室での人間関係

女性が多い職場で派閥がある

介護施設は女性スタッフが多いため、特定のグループが形成されやすい傾向にあります。

職員の年齢層や経験年数が幅広くまた、価値観の違いから自然と固定の人間関係ができやすいからです。

派閥に属さないと居づらい雰囲気を感じたり、仕事に必要な情報が回ってこないといった問題が起こることもあります。

グループに属さない人が孤立し、「居づらい雰囲気」を感じることで、業務に集中できなくなるケースも多く見られます。

噂話や陰口が多い

閉鎖的な環境にある介護施設では、ストレス解消の手段として噂話や陰口が蔓延しやすいという現実があります。

常に誰かの噂話や陰口が飛び交っていると、聞いている方も疲れてしまいます。

また色んな人の愚痴を聞かされていると、自分がいない所で同じようなことを言われているのではないか…と不安になる人もいるでしょう。

こうした雰囲気があると、職場への信頼感も損なわれてしまいます。

休憩中なのに休まらない

心身ともにリフレッシュすべき休憩時間なのに、まったく休まらないという悩みも深刻です。

施設によっては休憩室が狭かったり、一人で休める休憩スペースが確保されていなかったりして、他のスタッフや利用者さんのいる所で休憩をしなければならないこともあります。

そうなると業務の話が耳に入ったり、常に他人の視線を気にしたりしてしまい、気持ちを切り替えて休むことができません。

十分な休息が取れないまま午後の業務に戻ることで疲労が蓄積し、結果としてストレスが溜まりやすくなってしまいます。

3.上司・先輩との関係

威圧的な口調で指導される

上司や先輩から「なんでこんなこともできないの?」と強い言葉を浴びせられたり、怒鳴られたりすることもあるかもしれません。

このような威圧的な指導は相手を萎縮させ、質問や相談がしにくい環境を生み出します。

結果として疑問や不安を曖昧なまま業務を進めてしまい、余計にミスを起こすという悪循環に陥りやすくなるのです。

こうした指導は、モチベーションの著しい低下に繋がります。

自分の意見を聞いてもらえない

現場で利用者さんと最も接しているのは介護職であり、体調や小さな変化に気付くことができます。

しかし、せっかく利用者さんのためになる意見や業務改善案を提案しても、上層部や年長の職員に「それは違う」と否定されたり、流されたりすることもあるかもしれません。

こうした風通しの悪さや、柔軟性のない組織体制を感じると「意見を聞き入れてもらえないなら意味がない」と感じてしまい、仕事に対するモチベーションやプロ意識が大きく削がれてしまいます。

なぜ介護職は人間関係に悩みがちなのか?その3つの理由

なぜ介護職は人間関係に悩みがちなのでしょうか?

その根本的な理由を理解することで、解決の糸口が見えてきます。

1. 常に時間に追われる仕事だから

介護の現場は、常に時間に追われています。

朝食の時間、入浴の時間、レクリエーションの時間…と、分刻みでスケジュールが決まっている施設も多いです。

忙しい中余裕がなくなることでコミュニケーションが雑になったり、些細なミスでもイライラが募りやすくなったりして、お互いにきつく当たってしまうことがあります。

2. スタッフの年齢層や価値観が多様だから

介護職は、20代の若手から60代のベテランまで、幅広い世代が働いています。

そのため、仕事に対する考え方や価値観の違いが大きくなりやすいです。

「昔はこうだった」という考え方と「今はこうすべきだ」という新しい考え方がぶつかり、意見の食い違いが生じることがあります。

また、元々の性格や価値観の違いで対立が生まれる場合もあります。

例えば「時間重視」で全体の流れや効率を優先するスタッフと、「支援重視」で丁寧な個別ケアを大切にするスタッフとでは、仕事の進め方に対する考え方が根本的に異なるため、対立が生まれやすい傾向にあります。

3. 閉鎖的な環境になりやすいから

多くの介護施設は、外部との交流が少ない閉鎖的な環境になりがちです。

オフィスのように部署異動やたくさんの人と交流する機会が少なく、人間関係も固定化されやすいです。

特に少人数制の施設の場合、そもそも同世代の職員がいなかったり、どうしても苦手な人と同じシフトを組まなければならなかったりと、職員との相性次第では居心地も悪くなりがちです。

さらに一度トラブルが起きると、その関係性が修復しにくくなる傾向があります。

また先述の通り、相手の仕事ぶりが目に見えやすいことから「あの人はいつも居室の環境整備をしない」「オムツの当て方が雑」「なんでそんな効率の悪い動き方をするんだろう?」など相手への不満も生まれやすくなります。

介護職の人間関係を改善するための5つの解決策

人間関係の悩みを解決するためには、具体的な行動を起こすことが重要です。

ここでは、今すぐ実践できる5つの解決策をご紹介します。

1. 報連相を徹底する

人間関係のトラブルの多くは、情報共有不足が原因で起こりがちす。

そのため、

  • 利用者さんの変化は、どんなに些細なことでも記録する
  • 「言った」「言わない」のトラブルを防ぐため、口頭で伝えたことでも必ず記録に残す
  • 何事も「このくらいは良いか」とせず、チーム全体で情報を共有する意識を持つ

これを心がけるだけで、業務中のすれ違いや勘違いが大幅に減り、チームワークが向上します。

2. 相手の価値観を理解する努力をする

仕事のやり方が違うと感じたとき、否定的な感情を持つのは自然なことです。

しかし、そこをぐっとこらえ「どうしてそのやり方をしているのか」と聞いてみるのも一つの手です。

相手の考えには、過去の失敗経験や、独自の効率化の工夫が隠されていることがあります。

きちんと相手の考えを聞くことで、新しい発見があったり、お互いの理解が深まったりする可能性があります。

直接聞きづらい場合でも「なぜあの人はこういうやり方をしているんだろう」と相手の立場になって考えてみることで見えてくるものがあるかもしれません。

こうした姿勢を持つことで、無用な衝突を避けることが出来ます。

3. 相談できる相手を見つける

人間関係のストレスは、一人で抱え込むとどんどん深刻化してしまいます。

信頼できる相手に話すだけでも精神的な負担は大きく軽減します。

一人で悩みを抱え込まず、積極的に周りに相談するようにしましょう。

例えば

  • 職場の信頼できる先輩や同僚
  • 上司や法人・会社の相談窓口
  • 友人や家族

など話を聞いてもらうことで、気持ちが楽になるだけでなく、客観的な意見をもらうことで、自分だけでは気付かなかった解決策が見つかることもあります。

4. 適度な距離を保つ

人間関係のトラブルを避けるためには、「仲良くなる」ことよりも「不快な思いをしない距離感」を保つことが重要です。

自然に仲の良い人間関係が築けていれば良いのですが、無理に距離を詰めようとする必要はありません。

休憩中も常に仕事の話をしたり、プライベートな詮索をしたりするなど、過度な深入りをしてしまうと人間関係のトラブルに繋がりやすくなります。

そのため

  • プライベートな話題は控えめにする
  • 休憩中は、業務から離れてリフレッシュする
  • 他人の噂話には参加しない

など適度な距離感を保つことでお互いに干渉しすぎない、居心地の良い人間関係を築くことができます。

5. 勇気を出して異動や転職を検討する

上記の解決策を試しても状況が改善しない場合は、思い切って環境を変えることも解決策の一つです。

「人間関係が原因で辞めるのは甘えではないか」などと悩む必要はありません。

私もストレスが原因で最初の職場を辞めましたが、何よりも心身の健康を最優先に考えることが大事です。

環境を変えることは、決して逃げではなく、自己防衛のための賢明な選択肢の一つです。

人間関係が原因で心身の健康を損なってしまう前に「今の職場から離れる」という選択肢も真剣に検討しましょう。

施設の種類や規模が変われば、人間関係の質も大きく変わる可能性が高いです。

自分に合う職場の選び方については下記の記事も参考にしてみて下さい。

【体験談】人間関係で悩んだ知人が転職を決意した話

ここでは、私の知人が介護職の人間関係に悩み、最終的に転職を決意した体験談をご紹介します。

同じような悩みを抱えるあなたにとって、一つの参考になれば幸いです。

転職を考えたきっかけとは

私の知人は以前の職場で、常にピリピリした職場の雰囲気に疲弊していました。

一部のスタッフが休憩室で陰口を言ったり、グループができていたりして、とても居心地が悪かったそうです。

間に挟まれて気を遣う場面が多く、出勤前になると動悸やお腹の調子が悪くなるなど、徐々に身体に不調が出始めました。

仕事自体は好きだったのですが「このままでは心も身体も壊れてしまう」と感じ、転職を考え始めたそうです。

転職活動で重視したこととは

転職先を探す上で、知人が最も重視したのは何よりも「人間関係」でした。

求人票だけでは分からない職場の雰囲気を知るために、面接の際には「チームワークを大切にしていますか?」といった質問をしたり、職場見学の際には、スタッフ同士のコミュニケーションの様子を注意深く観察したりしたそうです。

また、転職エージェントに「人間関係が良好な職場」という希望を具体的に伝え、非公開求人も含めて探してもらいました。

転職後の変化とは

転職した結果、知人は人間関係の悩みから解放され、今は毎日楽しく働けていると話していました。

今の職場は、困っているときに助け合ったり、お互いに感謝を伝え合ったりする文化が根付いているそうです。

以前は仕事と割り切っていた人間関係が、今はより深く付き合えるようになり、利用者さんへのケアにもより集中できるようになったと喜んでいました。

まとめ|人間関係の悩みは一人で抱え込まない

介護職の人間関係は、誰もが直面する可能性のある問題です。

もし今職場の人間関係で悩んでいるのなら、まずは今回紹介した解決策を試してみてください。

それでも解決しないようであれば、無理に頑張り続ける必要はないと思います。

人間関係の悩みは、転職で解決できる可能性が非常に高い問題です。

もし今転職を考えているのであれば、転職エージェントに相談してみるのも一つの手です。

転職エージェントであれば希望に合った職場を見つけるサポートをしてくれますし、非公開求人なども紹介してくれるため、より良い職場が見つけやすくなります。

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