



介護職というと「きつい・給料が安い・将来性がない」といったネガティブな印象を持ってしまうこともあるかもしれません。
しかし高齢化や働き方が変化する中で、介護業界は今大きく変わりつつあります。
これまでのネガティブなイメージは薄れ、社会を支える大切な専門職として注目されてきているのです。
この記事では、「介護職の将来性」について疑問を感じている方に向けて
- 今後の需要
- 国の支援
- 具体的なキャリアアップの可能性
についてわかりやすく解説します。
Contents
介護職に将来性はある?結論:今後も需要は高まり続ける

結論からお伝えすると、介護職の将来性はとても高いと言えます。
その理由は、日本の高齢化の流れが今後も長く続くからです。
団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となる「2025年問題」を迎えた今、厚生労働省のデータでも、介護を必要とする方の数がさらに増え、高い水準に達していることが示されています。
同時に、その方々を支える介護人材の需要も増え続けることが予想されています。
こうした状況に合わせ、国も「介護離職ゼロ」を目標に掲げ、政策として介護分野への支援を続けています。
高齢者を支えるインフラとして、介護の仕事はこれからも社会に欠かせない存在なのです。
しかしこれだけ需要が増えているのに、現在も介護業界は人手不足が続いています。
ですがこれは働く側から見ればチャンスで、「施設が人材を選ぶ」時代から「介護職が職場を選ぶ」時代へとシフトしてきていると言えます。
介護職の将来性が高い3つの理由

なぜ介護職の将来性が高いと言えるのか、具体的な制度や働き方の変化から見た3つの理由を解説します。
① 高齢化と国の支援で「安定した需要と待遇」が続くから
介護職の将来性が高い一番の理由は、やはり高齢化の影響です。
先述の通り、高齢化率は今後も上昇していくことから、介護を必要とする方の数も増え続けていきます。
このことから、介護職は景気に左右されることなく、将来的にも安定した需要が見込めると言えます。
こうした需要を背景に、国も「処遇改善」という形で介護職の待遇改善に向け支援し続けています。
具体的には
- 介護職員処遇改善加算:事業所の取り組み次第で職員一人あたり月額1万5000円〜最大3万7000円相当の手当てが付く
- 介護職員等特定処遇改善加算:「勤続10年以上の介護職員に対し、月額平均8万円相当の処遇改善もしくは年収を440万円まで引き上げる」という目的で設置(ただし実態としては月額平均2万円ほどの改善に留まっている所が多い)
などの制度を通じて、介護職員の給与を上げていく仕組みが導入されています。
実際、介護職員の平均給与は年々着実に上がっており、この賃上げの流れは今後も国の政策として続くと見込まれます。
このように、介護職は「増え続ける需要」と「国による待遇改善」という安定した土台があることから「給与が低いから将来性がない」という心配は解消に向かっているのです。
② 働き方が多様化し、プライベートと両立しやすいから
介護職のもう一つの大きなメリットは、働き方の柔軟性です。
女性比率が高い業界であることも影響し、産休・育休制度は多くの施設で充実しています。
私自身、多くの現場を経験してきましたが介護職員同士での結婚・子育ても珍しくありませんし、産休・育休をしっかり取れる施設も多いです。
またそれ以外にも
- 日勤専従、夜勤なし
- 時短勤務
- 短時間パート
など、働く側の要望に応じた柔軟な勤務形態が増加しています。
これは、介護業界が深刻な人手不足にあるからこそ。
施設側も優秀な人材を確保するために、様々な職員の事情を加味し向き合ってくれる所がほとんどです。
出産や子育てといったライフイベントを経ても長く働き続けられる環境が整っているのは、大きな将来性と言えるでしょう。
③ 資格取得によるキャリアアップがしやすいから
介護職は、無資格・未経験から始められ、資格取得に応じて収入やキャリアアップの道がはっきりしている仕事です。
経験年数を積みながら、以下のステップで着実にキャリアを築くことができます。
| ステップ | 資格 | キャリア・役割 | 収入 |
| 最初の資格 | 介護職員初任者研修 | 介護の基本を学ぶ | 基本給 |
| 国家資格へ繋がるステップ | 介護職員実務者研修 | 介護福祉士の受験資格に必須 | 資格手当UP |
| 専門職 | 介護福祉士(国家資格) | 介護のプロフェッショナル | 手当・昇給が期待できる |
| 管理・相談 | 介護支援専門員(ケアマネジャー) | ケアプラン作成、施設管理 | 平均月収UP・役職者へ |
また現場を離れ、社会福祉士や生活相談員など、利用者と施設をつなぐ役割に進む道も選べます。
努力と経験が報われ、年数を重ねるほど選択肢が広がるのが介護職の魅力です。
今後の介護職の変化とは

今後の介護業界でどんな変化が起きるか知っておくと、さらに将来の見通しを立てやすくなります。
介護ロボット・ICT導入で身体的負担が軽減される
今後の介護業界では、ICT(情報通信技術)や介護ロボットなどが積極的に導入されるようになります。
介護職の身体的・精神的な負担を減らすため、国による支援が進められているからです。
- 介護用リフトや移乗介助のサポートロボットの活用で、身体的負担・腰痛のリスクなどが減る。
- AIによる記録やスケジュール管理の自動化で、残業の原因だった事務作業が効率的になる。
これらが導入されていくことで、介護職は利用者さんとのコミュニケーションや専門的なケアにより集中できるようになります。
介護の「専門職化」が進み、よりスキルが重視される
ICT化が進む一方で、介護の仕事は「誰でもできる仕事」から「人を支える専門職」へと変わっていきます。
今後は今まで以上に、機械にはできない質の高いコミュニケーション能力や多職種との連携能力、個別のニーズに応じた専門的なケアスキルなどが求められるでしょう。
これは個々のスキルや経験が以前にも増して評価され、収入にも直結しやすい環境になることを意味します。
また外国人介護人材の増加もすでに多く見られ始めています。
多様な価値観を持つ人々と協力しながら働くことが、今後ますます必要になっていきます。
介護職を長く続けるための3つのポイント

介護職として将来を見据えて働き続けるには、職場選びと自己管理が鍵となります。
長く働き続けられるよう、最適な環境で過ごすことが大切です。
① 無理をしない職場環境を選ぶこと
一言で介護施設と言っても、施設形態によって仕事内容や負担は大きく異なります。
自分に合わない環境で無理を続けても、長く働くことはできません。
例えば、
- 特別養護老人ホーム(特養):比較的重度の介護で看取り対応もあり、体力と精神力が必要。
- デイサービス:日中のみの業務でレクリエーションが中心。比較的元気な利用者が多いため、高いコミュニケーション能力が必要。
- 訪問介護:1対1のケアが多く、移動時間なども考慮する必要あり。支援内容によっては簡単な調理なども必要。
など、一言に介護と言っても求められる能力や考慮すべき事柄など様々です。
例えば若いうちは特養などで多くの人と関わることで経験を積み、そこからデイサービスや訪問介護などに転職して日中のみ働く、という選択肢を取ることもできます。
自分の体力、性格、求めるキャリアに合った職場を選ぶことが、長く働き続ける上で特に大切です。
自分に合う職場(施設形態)の選び方については、下記の記事も参考にしてみて下さい。
② 体力・メンタルケアを大切にすること
対人援助である介護職は、利用者さんの看取りや認知症ケアなど精神的な負担が大きい仕事です。
同じ利用者さんでも、認知症の進行具合やADLの衰えなどによって臨機応変な対応が必要になる場合もあります。
またご家族との関わり方も重要なため、とても気を遣う場面が多いです。
この他、シフト制や夜勤による疲労も無視できません。
これらの負担を軽減するために
- 体力面:夜勤や変則勤務による自律神経の乱れを防ぐため、質の高い睡眠を確保すること。
- 精神面:認知症による暴言や暴力があっても「病気のせい」と割り切るスキルを身につけること。
- 周囲との関係性:職場の人間関係が辛い時、信頼できる介護仲間や上司に相談できる環境を持つこと。
など意識するようにしましょう。
こうした心がけがストレスを和らげることにつながります。
自分の心と体の声に耳を傾け、無理をしない働き方をしていくことが大事です。
③ スキルアップでやりがいを持ち続けること
介護の仕事は、資格取得後も学び続けることで、仕事への楽しさややりがいを保つことができます。
介護業界の専門職化が進む中、資格取得などによるスキルアップはモチベーションと将来の収入に直結します。
例えば
- 専門資格の取得:介護福祉士取得後も、認知症ケア専門士や認定介護福祉士など、特定の分野の専門知識を深める。
- 新たな分野への挑戦:喀痰吸引や医療的ケアなど、医療知識を伴うスキルを習得する。
- 指導・管理能力の向上:リーダー研修やマネジメント研修に参加し、後輩の指導やチーム運営に携わる。
などなど
こうした資格を取ることでキャリアアップを図り、他の施設などに移るということも可能です。
特に介護系の資格は強く、ケアマネージャーや社会福祉士は資格があるだけで歓迎されやすいので、途中でブランクがあったとしても再就職もしやすくなります。
未経験でも介護業界は人手不足の所が多いので、他の職種位比べると転職自体のハードルが低いです。
介護職は離職率が高いというイメージがあるかもしれませんが、こうしてキャリアアップのために現場を離れ、他の施設に転職していく人も多いのです。
スキルアップはただ給与を上げるだけでなく、仕事の幅を広げ、自信とやりがいを生み出します。
まとめ:介護職は「人を支える専門職」として将来性が高い

高齢化が進む限り、介護職は社会に必要とされ続ける将来性の高い仕事です。
給与面では国の支援が続き、待遇は年々改善傾向にあります。
働き方についても柔軟性が増し、資格を取ることでキャリアアップの道筋も明確になります。
介護職は確かに大変な面も多いですが、確実に社会に必要とされる専門職です。
介護業界の進化に合わせ、スキルを磨きながら、ぜひ自分に合う職場・働き方を選んでみて下さい。
安定性があり、人を支えるやりがいのあるこの仕事で、将来を見据えたキャリアを築いていけるはずです。

