介護職の一日を徹底解説!施設・働き方別のリアルなスケジュール
介護職の一日って、どんな感じなんだろう
デイサービスと特養だと、何が違うんだろう
夜勤ってやっぱり大変なのかな?

一言に介護の仕事と言ってもイメージが掴みづらいですよね。

人によっては何となく「大変そう」「きつそう」といったイメージを持つ方もいるかもしれません。

実は介護職の働き方は、働く施設や雇用形態によって全く違います。

漠然としたイメージだけで転職すると、「思っていたのと違った…」と後悔するかもしれません。

この記事では、代表的な施設・働き方別に、介護職の一日の流れを詳しく解説していきます。

またご自身の性格や希望のライフスタイルによって、どのような施設が合うのかもご紹介していきます。

職場を選ぶ際の参考にしてみて下さい。

介護職の一日【施設・働き方別】

この章では、主な職場として特別養護老人ホーム、有料老人ホーム・グループホーム、デイサービス、訪問介護の一日の流れを詳しく解説していきます。

まず勤務体制についてですが、入居型の施設では主に2交代制3交代制、そして最近増えつつある>4交代制があります。

  • 2交代制:日勤と夜勤に分かれる勤務体制です。日勤は朝から夕方まで、夜勤は夕方から翌朝までの長時間勤務です。夜勤の回数が少なく、プライベートの時間を確保しやすいというメリットがあります。
  • 3交代制:早番・遅番・夜勤などの3つに分かれる勤務体制です。各シフト8時間程度と、1日の勤務時間が短いのが特徴です。2交代制に比べ夜勤が短時間で済むため、体力的な負担が少ないというメリットがあります。
  • 4交代制:早番・日勤・遅番・夜勤などの4つに分かれる勤務体制です。日中帯のスタッフが手厚くなり、業務の負担が分散されるメリットがあります。

これらの勤務体制は施設により異なります。

このように夜勤の頻度や勤務時間など、ご自身の希望に合う働き方を選びやすいのが介護職の魅力の一つでもあります。

特別養護老人ホーム(特養)の一日

特養は、常に介護が必要な高齢者が入居する施設です。

特養には大きく分けて

  • 従来型特養:全員が決められたスケジュールで過ごす集団ケア
  • ユニット型特養:各々の生活リズムで過ごす個別ケア

の2種類があります。

先述の通り勤務体制は施設により異なりますが、ここでは一般的なシフトである早番・遅番・夜勤の3つの動きを紹介していきます。

従来型特養では基本的に、下記で紹介するような流れが一般的です。

 

【早番】の一日の流れ

早番の仕事は、利用者さんの起床介助や朝食のサポートから始まります。

特に従来型特養では利用者さんの人数も多く、時間との勝負になりがちです

<そのためテキパキと効率よく動く必要があります。

 7:00〜:出勤・申し送り。夜勤スタッフから、利用者さんの夜間の様子や体調の変化などの様子を伺います。
 7:15〜:起床介助・着替え・排泄介助。利用者さんをベッドから起こし、着替えや整容、必要に応じて排泄介助を行います。
 9:00〜:朝食介助・入浴介助・レクリエーション。朝食のサポートや、入浴介助、入浴をしない方へのレクリエーションを提供します。
12:00〜:昼食介助。昼食の準備と介助を行い、食事量や水分量を記録します。
13:00〜:休憩。交代で1時間程度の休憩を取ります。
14:00〜:レクリエーション・水分介助・記録。レクリエーションや午後のおやつ・水分の提供を担当し、一日の終わりに介護記録を行います。
16:00〜:申し送り・退勤。遅番スタッフに引継ぎをして業務終了です。

    【遅番】の一日の流れ

    遅番は、午後から夕方にかけての業務を担うシフトです。

    <昼食の介助から始まり、夜の就寝介助までを行います。

    11:00〜:出勤・申し送り。早番スタッフから業務を引き継ぎます。
    12:00〜:昼食介助。昼食のサポートを行い、食後の口腔ケアも実施します。
    13:30〜:排泄介助・入浴介助。午後の入浴介助や、入浴がない方の排泄介助を行います。
    15:30〜:休憩。交代で1時間程度の休憩を取ります。施設によりますが、遅番では休憩時間も遅めに入ることが多いです。
    17:00〜:夕食準備・誘導。夕食の準備や、利用者さんを食堂へと誘導します。
    18:00〜:夕食介助。夕食のサポートを行い、食事量や水分量を記録します。
    19:00〜:就寝介助。着替えや口腔ケア、排泄介助など、就寝のお手伝いをします。
    20:00~:申し送り・退勤。夜勤スタッフへの申し送りを行い、業務終了です。

     

    【夜勤】の一日の流れ

    夜勤は、夕食介助や就寝介助に始まり、起床介助、朝食介助までを行います。

    主に利用者さんが就寝している間のケアを担当しますが、体力と集中力が必要なシフトです。

    17:00〜:出勤・申し送り。日勤スタッフから日中の様子を引き継ぎます。
    18:00〜:夕食介助。夕食のサポートを行います。
    19:00〜:就寝介助・排泄介助。着替えや口腔ケア、排泄介助などを行い、就寝のお手伝いをします。
    21:00〜:夜間巡回。おおよそ1~2時間おきに、利用者さんの安否確認や体位交換、排泄介助を行います。夜間にナースコールが鳴ることも多いため、その都度対応をします
     1:00〜:仮眠・休憩。交代で2〜3時間程度の仮眠を取ります。この間、起きているスタッフはナースコール対応や排泄介助、掃除や物品の消毒、洗濯などの雑用も行います。空いた時間で夜間の介護記録も行います。
     5:00〜:起床介助。利用者さんを起こし、着替えや整容、必要に応じて排泄介助などを行います。
     7:00〜:申し送り・退勤。早番スタッフに業務を引き継いで業務終了です。

    上記は従来型特養の基本的な流れですが、ユニット型特養の場合はどちらかというと、後述する有料老人ホームやグループホームに近い流れになります。

    有料老人ホーム・グループホームの一日

    有料老人ホームとグループホームは、どちらも入居型の施設ですが、それぞれ異なる特徴があります。

     

    有料老人ホームの一日の流れ

    有料老人ホームは、自立した方から手厚い介護が必要な方まで、幅広い状態の方が入居しています。

    入居されている方は基本的に「お客様」として扱われるため、対応については「接遇」が重視されます。

     7:00〜:起床・排泄介助。利用者さんをベッドから起こし、着替えや整容、排泄介助を行います。
     8:00〜:朝食介助。食堂への誘導や食事のサポートを行います。
     9:00〜:入浴介助・レクリエーション。入浴介助や体操、個別レクリエーションなどを行います。
    12:00〜:昼食介助。昼食のサポートを行います。
    13:00〜:レクリエーション・機能訓練。午後のレクリエーションや、リハビリ専門職と連携した機能訓練を行います。
    15:00〜:水分提供・排泄介助。午後のおやつ・水分の提供や、排泄の介助などを行います。
    17:00〜:夕食準備。夕食の準備や、日中の記録業務を行います。
    19:00〜:就寝介助。着替えや口腔ケア、排泄介助などを行い、就寝のお手伝いをします。
    夜勤:夜勤のスケジュールは特養とほぼ同様で、巡回や記録、排泄介助、雑用が主な業務です。

     

    グループホームの一日の流れ

    グループホームは、認知症の方が少人数で共同生活を送る、家庭的な雰囲気の施設です。

    料理や食器洗いなどの家事も、利用者さんに一部お手伝いをお願いする場合もあります。

     7:00〜:起床・朝食準備・食事介助。利用者さんと一緒に朝食の準備や後片付けを行います。
     9:00〜:家事・買い物・レクリエーション。一緒に洗濯や掃除をしたり、買い物に行ったりします。また施設によっては入浴介助なども行います。
    12:00〜:昼食・休憩。利用者さんと一緒に昼食をとり、その後は各自休憩や自由時間になります。
    14:00〜:水分介助・入浴介助。午後のおやつ・水分提供や入浴介助を行います。日によっては外出をし、みんなで近くを散歩するなど気分転換を図ります。
    17:00〜:夕食準備・食事介助。利用者さんと一緒に夕食の準備や後片付けを行います。
    19:00〜:就寝介助。着替えや口腔ケア、排泄介助などを行い、就寝のお手伝いをします。
    夜勤:夜間は他の施設と同様、数時間おきに安否確認を行い、必要に応じて排泄介助や体位交換を行います。

    デイサービス(通所介護)の一日

    デイサービスは、日中だけ利用者さんが施設に通うサービスです。

    夜勤がないのが大きな特徴で、土日休みを採用している所がほとんどのため、生活リズムを崩さずに働きたい人にとっては魅力的な職場です。

     8:30〜:送迎・バイタルチェック。利用者さんを自宅まで迎えに行き、施設到着後、体温や血圧などを測ります。
     9:30〜:健康体操・入浴介助。利用者さんと一緒に体操をしたり、入浴をサポートしたりします。排泄介助もこの間に行います。
    12:00〜:昼食介助。昼食のサポートや、食後の口腔ケアを行います。
    13:00〜:レクリエーション。塗り絵やカラオケ、ゲームなど、趣味活動や交流を目的としたレクリエーションを行います。
    15:30〜:おやつ・送迎。おやつの後、利用者さんを自宅まで送り届けます。
    17:00〜:記録・退勤。事務作業や翌日の準備を終えたら、業務終了です。
    利用者さん同士の交流やレクリエーションを目的とした施設がほとんどですが、施設によってはリハビリや介護予防に特化しているデイサービスもあります。

      訪問介護の一日

      訪問介護は、利用者さんの自宅を訪問し、1対1で介護サービスを提供する働き方です。

      施設に出勤する必要がなく、直行直帰が基本です。<

      ただし訪問の際に利用する自転車や車が事業所のものである場合は、必要に応じて出勤することもあります。

       9:00〜:午前中の訪問(生活援助)。利用者さんのご自宅へ訪問し、掃除、洗濯、買い物などを手伝います。
      12:00〜:昼休憩。訪問と訪問の間の空き時間を自由に過ごします。
      13:00〜:午後の訪問(身体介護)。食事や入浴、排泄介助など、身体に触れる介助を行います。
      16:00〜:午後の訪問(生活援助)。午後の業務を終えた後、そのまま自宅へ直帰し、サービス提供記録を作成します。
      訪問する時間は利用者さんごとに異なりますが、おおよそ1件あたり20~60分程度が基本です。
      夜勤がない事業所がほとんどのため、生活リズムも安定しやすいです。
      ただし1日に何件か回る必要があるため、天候によっては移動が大変になる場合もあります。

      施設・働き方別の「一日の流れ」を徹底比較

      この章では、先ほど解説した施設ごとの働き方を、より分かりやすいように比較していきます。
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      特別養護老人ホーム 有料老人ホーム・
      グループホーム
      デイサービス 訪問介護
      夜勤の有無 あり あり なし >基本なし

      (24時間対応の事業所の場合はあり)

      利用者との
      関わり方
      集団・個別(ユニットケアの場合) 集団・個別 集団・個別 個別(1対1)
      主な
      業務内容
      食事・入浴・排泄介助、レクリエーション、記録業務 食事・入浴・排泄介助、イベント企画 送迎、レクリエーション、入浴介助 食事・入浴・排泄介助、掃除、買い物
      人間関係 チームでの連携が必須 チームでの連携が必須 チームでの連携が必須 ほぼなし
      給料の傾向 夜勤手当があるためやや高め 有料:民間経営のため高め

      グループホーム:身体介護の負担が少ないため低め

      夜勤がないため低めだが安定している 働く時間や件数による
      やりがい 利用者さんの生活全般を
      支えられる
      利用者さんの生活の質の向上に貢献できる 利用者さんの笑顔や楽しむ姿を多く見られる 1対1で深く関われる

       

      介護職の気になる「本音」

      介護職の仕事は、スケジュール表だけではわからないリアルな側面が多々あります。

      ここでは多くの人が不安に感じるであろうポイントについて、本音を交えながらお答えしていきます。

      実際は休憩が取れないというのは本当か?

      「休憩時間なんて、あってないようなもの」と耳にすることがあるかもしれません。

      しかし介護現場では、基本的に休憩時間がしっかりと確保されます。

      利用者の状況によっては緊急対応で中断されることもありますが、スタッフが交代で休憩を取れるよう体制が整えられているのです。

      休憩時間は心身のリフレッシュに欠かせないため、安心して休めるよう配慮がなされています。

      ただし稀に、利用者さんと一緒に食事を摂るのが習慣化していたり、フロアと休憩スペースの境が曖昧だったりして上手く休んだ気になれない施設があるのも事実です。

      職場選びの際には、休憩場所や取り方なども事前に確認するようにしましょう。

      残業は多いのか?

      介護職の場合、残業が発生してしまうケースとしては主に、記録業務申し送りによるものが多いです。

      日中の業務が立て込んで定時までに記録が終わらなかったり、夜勤スタッフへの申し送りに時間がかかったりすることがあるためです。

      しかし近年では、ITツールの導入により記録業務が効率化され、残業も減りつつある傾向にあります。

      また基本的に残業は少なめではあるものの、役職によっては委員会や会議など、まれに時間外で行わないといけない業務が発生する場合もあります。

      サービス残業がないか、残業代がきちんと支払われるかなど、職場選びの際には事前にしっかりと確認するようにしましょう。

      体力的にきついのか?

      介護職は、食事や入浴、排泄介助など体を使う業務が多いため、体力的な負担があるのは事実です。

      特に特養や有料老人ホームでは、移乗介助(ベッドから車椅子への乗り降りを手伝うなど)が頻繁に発生します。

      しかし近年では、介護ロボットやリフトなどの福祉機器を導入する施設も増え、スタッフの負担が軽減されつつあります。

      また身体に負担をかけない適切な介助方法を学ぶことで、必要以上に体力を使わずに済むようになります。
      夜勤の有無などによっても体力的な負担が変わってくるため、働く際にはご自身の過ごしやすいライフスタイルに合う施設を選ぶようにしましょう。

      どこが自分に合っている?タイプ別のおすすめ施設

      この章では、これまで解説した内容を踏まえ、性格やライフスタイルごとのタイプに合うおすすめの施設を紹介していきます。

      「体力に自信がない」「夜勤は避けたい」人

      体力に自信がない、生活リズムを崩したくないという人には、デイサービスがおすすめです。

      夜勤がなく、決まった時間で働けるため、ワークライフバランスを重視する人に向いています。

      また利用者さんは、普段在宅で生活をされ日中だけ施設を利用するため、比較的元気な方が多い傾向にあります。

      また夜勤がないという点では訪問介護もおすすめです。

      「人と深く関わりたい」「じっくりと向き合いたい」人

      利用者さんと1対1で深く関わりたい人には、訪問介護やグループホーム・ユニット型特養がおすすめです。

      施設での集団ケアとは違い、個々の生活に合わせたサービスが提供できます。

      そのため、じっくりと時間をかけて信頼関係を築けることにやりがいを感じる人に向いています。

      「幅広い介護経験を積みたい」「しっかり稼ぎたい」人

      とにかく収入を上げたい人には特別養護老人ホームや有料老人ホームがおすすめです。

      特養では夜勤手当はもちろん、施設によっては早番手当てや遅番手当などが付く場合もあります。

      また有料老人ホームは主に民間企業が運営しているため、介護業界の中でも比較的給与が高めに設定されている所が多くあります。

      まとめ

      介護職の一日は、働く場所によって大きく異なります。

        どの施設が自分に合っているか分からない、色々な働き方を経験してみたいという人には、派遣から始めてみるのも一つの手です。

        この記事が、あなたに合う働き方を見つける手がかりになれば幸いです。

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